ポリプロピレン繊維とは：特性、製造方法、製造場所

ポリプロピレン繊維とは：特性、製造方法、製造場所

Sewportサポートチーム • 2022年5月25日

ポリプロピレン生地とは何ですか?

ポリプロピレン織物とは、熱可塑性ポリマーであるポリプロピレンから作られるあらゆる繊維製品を指す用語です。このタイプのプラスチックはポリオレフィン系に属し、非極性で部分的に結晶性があります。ポリプロピレンはポリエチレンに次いで世界で2番目に多く生産されているプラ​​スチックであり、繊維製品よりも包装材、ストロー、その他の消費財や工業製品に多く使用されています。

このタイプのプラスチックは、1951年にアメリカのフィリップス石油会社によって開発されました。化学者のロバート・バンクスとJ・ポール・ホーガンは、プロピレンからガソリンを抽出しようと試みていた際に、偶然ポリプロピレンを作り出しました。この実験は失敗とされましたが、この新しい化合物は多くの用途においてポリエチレンに匹敵する可能性を秘めていることがすぐに認識されました。

しかし、ポリプロピレンが大量生産に適した物質に生まれ変わったのは1957年になってからでした。1954年、イタリアの化学者ジュリオ・ナッタと彼のドイツ人の同僚は、この物質をアイソタクチックポリマーにすることに成功し、イタリアのモンテカティーニ社はすぐにこの物質を商業および消費者向けに生産し始めました。

ポリプロピレンは元々「Moplen」という名称で販売されており、この名称は現在もLyondellBasell社の登録商標です。しかし、現在ではポリプロピレン、あるいは略して「ポリプロ」と呼ばれる方が一般的です。

ポリプロピレン生地（鳩灰色）の天蓋とスリング付きデッキチェア

ポリプロピレンが様々な消費者向けおよび産業用途で広く使用されるようになるにつれ、このプラスチックが繊維としても潜在能力を発揮していることが徐々に発見されました。ポリプロピレン繊維は不織布であり、紡糸や製織を必要とせず、素材から直接作られています。繊維としてのポリプロピレンの主な利点は、その吸湿性です。この繊維は水分を吸収せず、水分はポリプロピレン繊維を完全に透過します。

この特性により、ポリプロピレン製の衣類を着用中に発散した水分は、保湿性の高い衣類に比べてはるかに速く蒸発します。そのため、この素材は肌に直接触れる繊維として人気があります。しかし、ポリプロピレンは下着に使用すると体臭を吸収・保持する傾向があり、また比較的低温で融解します。融解したポリプロピレンは重度の火傷を引き起こす可能性があり、この問題から高温での洗濯も不可能です。

ポリプロピレン生地は、現存する合成繊維の中でも最も軽量な素材の一つであり、ほとんどの酸やアルカリに対して優れた耐性を備えています。さらに、この素​​材の熱伝導率はほとんどの合成繊維よりも低いため、寒い季節の衣類に最適です。

ベージュとホワイトのバスケット織りポリプロピレン張り生地

さらに、この生地は耐摩耗性に優れ、虫などの害虫にも強いのが特徴です。優れた熱可塑性のため、様々な形状に成形しやすく、溶融による再成形も可能です。また、応力割れも起こりにくいのが特徴です。

しかし、ポリプロは製造後の染色が非常に難しく、様々な質感に成形することも困難です。また、紫外線によるダメージを受けやすく、ラテックスやエポキシ樹脂との接着性も低いです。他の合成繊維と同様に、ポリプロピレン繊維も環境に重大な悪影響を及ぼします。

ポリプロピレン生地はどのように作られるのでしょうか?

ほとんどのプラスチックと同様に、ポリプロピレンは石油などの炭化水素燃料由来の物質から作られています。まず、モノマーであるプロピレンが原油からガス状に抽出され、このモノマーは連鎖重合と呼ばれるプロセスを経て、ポリマーであるポリプロピレンへと変換されます。

多数のプロピレンモノマーを繋ぎ合わせると、固体のプラスチック材料が形成されます。使用可能な繊維を製造するには、ポリプロピレン樹脂に様々な可塑剤、安定剤、充填剤を混合する必要があります。これらの添加剤は溶融したポリプロピレンに投入され、目的の物質が得られたら、このプラスチックを冷却してレンガ状またはペレット状に成形します。

これらのペレットまたはブロックは繊維工場に運ばれ、再溶解されます。多くの場合、このポリプロピレンはシート状に成形されますが、金型内で冷却されることもあります。シート状に成形された場合は、これらの細い繊維を所望の形状に切断し、縫製または接着して衣類やおむつを製造します。ポリプロピレンを非衣料品に成形するためには、様々な製造方法が用いられます。

ポリプロピレン生地はどのように使用されますか?

ポリプロ繊維は、吸湿発散性が求められる衣料用途に広く使用されています。例えば、このタイプのプラスチックは、おむつ用トップシート（肌に直接触れる部分）の製造によく使用されています。このトップシートにポリプロピレンを使用することで、赤ちゃんの肌に水分が残らず、かぶれの発生を抑えることができます。

この不織布は吸湿発散性に優れているため、寒冷地用衣料の素材としても人気があります。例えば、この合成繊維は、米陸軍の第一世代拡張寒冷地用衣料システム（ECWCS）に使用された下着やアンダーシャツに使用されていました。この生地で作られた衣服は、寒冷地における兵士の快適性を向上させることが確認されましたが、ポリプロ繊維に問題があったため、米軍は第二世代および第三世代ECWCSシステムに最新世代のポリエステル繊維を導入しました。

ポリプロピレン生地はスポーツウェアの素材として使用される場合もありますが、このプラスチックにはいくつかの問題点があるため、この用途では新しいポリエステルが主流となっています。ポリプロピレン生地の吸湿発散性はスポーツウェアに非常に適していますが、温水で洗えないため、ポリプロピレン製のスポーツウェアは臭いを落とすのが困難です。さらに、この繊維は紫外線によるダメージを受けやすいため、どんなアウターウェアにも適していません。

衣料品以外にも、ポリプロピレンは数千もの用途で使用されています。最も有名な用途の一つはストローです。ストローは元々紙で作られていましたが、現在ではポリプロピレンが主流となっています。また、ロープ、食品ラベル、食品包装、サングラス、そして様々な種類のバッグにも使用されています。

ポリプロピレン生地はどこで生産されていますか?

中国は現在、ポリプロピレン製品最大の輸出国です。2016年には、この国の工場で59億ドル相当のポリプロピレンが生産され、この傾向は当面安定すると予測されています。

この物質はドイツでも大量に生産されており、2016年には約25億ドル相当のポリプロピレンが生産されました。イタリア、フランス、メキシコ、ベルギーもこの物質の主要生産国です。米国では2016年に11億ドル相当のポリプロピレン製品が生産されました。

国際的なポリプロピレン製造業界における最大手はLyondellBasellです。同社はオランダに設立され、ヒューストンとロンドンに拠点を置いています。

この業界で2位を占めるのは、北京に拠点を置くシノペックグループと、同じく北京に拠点を置くペトロチャイナグループです。この物質の生産量上位10社で、世界のポリプロピレン総生産量の55%を占めています。

ポリプロピレンは世界中で繊維に加工されています。ポリプロピレン繊維の最大の生産国は中国で、インド、パキスタン、インドネシア、その他多くの国でも衣類やその他の繊維に加工されています。

ポリプロピレン生地の価格はいくらですか?

ポリプロピレン製の布ライナーを杉の高床式ベッド内に設置

ポリプロは最も広く生産されているプラ​​スチックの一つであるため、一般的に大量購入すれば非常に安価です。多くの大手工場が世界のプラスチック市場を奪い合うために競争しており、この競争によって価格が下落しています。

しかしながら、ポリプロピレン生地は比較的高価である可能性があります。価格高騰の主な理由は需要の低迷です。ポリプロピレン生地はかつて保温下着の製造に比較的よく使用されていましたが、近年のポリエステル生産の進歩により、このタイプの生地はほぼ廃れてしまいました。そのため、ポリプロピレン生地はポリエステルなどの類似の合成繊維よりも繊維メーカーにとってコストが高く、このコスト上昇は一般的に最終消費者に転嫁されます。

ただし、このコスト増加は衣料品として製造されるポリプロピレン生地にのみ適用されることを明確にしておくことが重要です。衣料品に適さない様々な種類のポリプロピレン生地は比較的低価格で販売されており、一般的に非常に安価です。これらの生地は、様々な色や質感のものがあります。

ポリプロピレン生地にはどんな種類がありますか?

ポリプロは液体の状態でも様々な添加剤を加えることで、その特性を変えることができます。また、このプラスチックには大きく分けて2つの種類があります。

• ホモポリマーポリプロピレン：ポリプロプラスチックは、添加物を含まない本来の状態ではホモポリマーとみなされます。このタイプのポリプロプラスチックは、一般的に布地に適した素材とは考えられていません。

• コポリマーポリプロピレン：ポリプロピレン織物のほとんどはコポリマーです。このタイプのポリプロピレンはさらに、ブロックコポリマーポリプロピレンとランダムコポリマーポリプロピレンに分類されます。ブロック形態のポリプロピレンでは、コモノマー単位が規則的な正方形パターンに配列していますが、ランダム形態のポリプロピレンでは、コモノマー単位が比較的ランダムなパターンに配列しています。ブロック型ポリプロピレンとランダム型ポリプロピレンのどちらも織物用途に適していますが、ブロック型ポリプロピレンの方が一般的に使用されています。